稲城南山とその周辺

稲城南山と多摩丘陵 <考察編>

多摩丘陵の崖と地層の調査



多摩丘陵の崖と地層の調査

 わたしは2006年から2007年にかけて、多摩丘陵のさまざまな地域、山々を歩き回りました。
(このHPに載せていないところで歩いたところは、小山内裏公園とその周辺(都立)、御殿峠周辺、八王子絹の道、長池公園(八王子市立)、多摩動物園、多摩動物園横の七生公園(都立)と裏手の南平丘陵公園(日野市立)、野猿峠の散歩道、桜ヶ丘公園(都立)とその周辺、稲城ふれあいの森(稲城市立)、天神山と多摩遊歩道(川崎市立)、などです。
写真が整理でき次第、おいおい載せていきます。)

 その目的は、まず、(1)砂質の崖があるところを探し、その崖はどうなっているかを知りたかったこと、稲城南山の人工の崖と似た崖はないか、安全性はどうだろうか?
次いで、(2)稲城南山の地質を理解するために、南山近隣と多摩丘陵の他の地域の地質を知ることでした。
自然公園が多かったので、(3)それぞれの場所自体の魅力を楽しむと共に、(4)自然観察や保全のやり方、などについてもいろいろ眼にすることが出来ました。

 インターネットで多摩地域の地質図や解説を探してコピーし、稲城砂層の周辺の地層について、例えば出店(でだな)層、柿生泥岩層、連光寺礫泥砂互層、など、実地に露出して見ることの出来る場所をサイクリングしながら探し回ったりもしました。

 多摩丘陵以外にも多摩川の中流域も調べてまわり、その部分は「多摩川中流域」というHPに載せました。

 地学のガイドブックを参考にして、地質解説の出ているところを優先して歩き、地質や地層の様子を少しずつ理解していきました。ただ、多くの場所はブロックや植栽で保護されてしまっていて、自分の眼で見て、あるいは手で触れて地質の様子を確かめる、ということが出来ない状態でした。


調査をしていて分かってきたこと

 このような調査をしていて分かって来たことがいくつかあります。

1. 地層の積み重なりが観察しやすいところは多摩丘陵の中でも稲城南山を含めて数カ所しか残っていません。
稲城南山以外は市立または都立の自然公園として保存されています。

    多摩丘陵北部  長沼山  八王子市 都立自然公園 
            浅間山  府中市  都立自然公園   
    
多摩丘陵中央部 稲城南山 稲城市  開発して破壊?
    
多摩丘陵南部  枡形山  川崎市  市立生田緑地公園

2. 自然公園では、現地に地質・地層の解説板などが整備されています。

 
八王子市の長沼山(都立自然公園)川崎市立の生田緑地公園内の枡形山では、現地に大きな地質解説の看板が建てられています。府中の浅間山(せんげんやま、都立自然公園)も多摩丘陵と共通の地層構成の山で、府中市の郷土の森博物館に丁寧な解説コーナーがあります。

長沼山の地質

舛方山の地層  
 

3.
各地の地層の重なりやその解説を読んでいて、稲城南山の人工の崖で見ることの出来る地層の重なりが、ほかの所とは違う単純なものだということが分かってきました。

稲城南山の地層


4. 地学のガイドブックには出ていないが、すばらしい地層の露出が見られるところ
が、数カ所ありました。多分地質の専門家の間では有名な場所だと思われるのですが、荒らされるのをおそれて公表していないのかもしれません。

 そのうちの1つは、連光寺の礫泥砂互層。礫・泥・砂の積み重なりが見られます。ずいぶん探し回って、やっと連光寺層の露出している姿を間近に観察できる場所を見つけました。立地が悪くて売れ残っている宅地のような場所でした。
 わたしの考えでは、東京都のレベルでその土地を買い取り、たとえば学校教育および社会人教育用の小さな施設を作ってその場所を保全すべきだと思いました。それだけの価値のある場所だと思います。連光寺互層は日野市、多摩市、町田市などの基盤になっている地層です。その地域に住んでいる人にとっては、一度は自分たちの住んでいる場所がどのようなところなのか見てみるのも良いのではないかと思いますが、連光寺互層についてはそこ以外には露出しているところは多分ないと思います。

 天神山の下、三沢川沿いの崖。川崎市の自然遊歩道として保全された緑地に含まれています。コンクリで固めて保護した物と思っていましたが、実はそのまま本来の地層が露出している崖でした。

 多摩川・大栗川の右岸の崖。連光寺の下で、国土交通省の京浜河川事務所指定の生態系保持空間として自然が保存されているところで、断続しながらながーく続いている2−3層になった砂質の崖があります。これは大栗川が多摩川に合流するところにある交通公園やバードウオッチ小屋の付近から見ることが出来ます。この砂質の崖は多分稲城砂層に連続したもので、多摩川の浸食によって露出し、出来たものだと思います。

5. 稲城砂層については稲城市の「稲城ふれあいの森」の中に、むき出した砂層と、稲城砂層についての解説板があります。ただしそこは中に入ってみるには時間や曜日の制約があり、入るのに届けも必要、といろいろ不便です。
   大丸にも山砂採取で稲城砂層の剥き出した場所がありますが、崖の手前に建物があり、近くに寄ってみることは出来ません。

 地質観察が出来るところで、見落としているところがまだあるかもしれません。その様なところがあったら是非教えてください。


(2008年8月 記)


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