稲城南山とその周辺


稲城南山と多摩丘陵 <考察編>

2. 稲城南山と多摩丘陵の成り立ち 



 稲城南山と多摩丘陵の他の地域の地層を比較することで、多摩丘陵の成り立ちが理解し易くなります。
それぞれの地層の重なり方を簡潔に表すと図のようになります。


多摩丘陵の地層比較



 それぞれの地層がいつどのようにして出来たのかを、参考資料を基にして、図にしてまとめてみました。


 多摩丘陵の誕生


(1)上総層(かずさそう、上の図で緑のところ): 300万年前〜70万年前の間、長い年月をかけて堆積した礫(れき、石ころのこと)、砂、泥、が上総層という地層になった。

 300万年前〜70万年前は、丹沢や道志山塊の方が陸で、関東平野は海の底でした。大きな河が丹沢方面から東に向かって流れ、関東平野の海に流れ込んでいました。

 海岸線は府中〜稲城〜川崎北部、にかけてあったと思われますが、入り組んでいたり、気候の変動によって海面の上下があり、海になったり、陸になったり、の変動もあったでしょう。

 稲城付近では大きな三角州が作られ、砂が大量に堆積し、稲城砂層となりました。
 他の地域でも川の流れの激しいところでは礫、
流れの緩やかなところや周辺の湿地帯などでは砂や泥、海であれば丸い小石や砂、泥、など、さまざまな物が数百万年をかけて分厚く堆積しました。これらの物が多摩丘陵の基盤を作っています。

 この300万年〜70万年前に堆積して出来た地層は、多摩丘陵から関東平野の地下深くを経て房総半島にまで及んでいて、全体をまとめて上総層(かずさそう)と呼ばれています。

 上総層は地域によって堆積した物が砂であったり、泥であったり、石ころであったり、と異なります。また、同じ場所でも時代によって堆積する物が変わったりしています。稲城付近では泥や石の堆積はなく、砂ばかりが厚く堆積しているので、「稲城砂層」と呼ばれています。

 稲城市のごく近くでも、多摩ニュータウン付近は石ころ、泥、砂、が交互に堆積した地層(連光寺礫泥砂互層)になっています。八王子市の長沼山では、良く固まった砂礫が多く(平山砂礫層)、川崎市の枡形山では泥が固まって泥岩になっています(飯室泥岩層)。枡形山の泥岩では海岸生物の化石が含まれるので、海で堆積して出来た泥岩層だということが分かります。

 地層はそれぞれの場所で南東側にゆるく傾斜して重なっています。(関東平野側が沈む傾向があったようです。)


(2)河原や海で出来た砂礫層(上の図で茶色のところ): 八王子市の長沼山、川崎市の枡形山には稲城南山にはない付加的な地層がある。

 八王子市の長沼山、川崎市の枡形山には、上総層の上に礫層が重なっています。

 長沼山の礫層は河原で堆積した礫層。地質図を見るとこの礫層(御殿峠礫層と呼ばれています)は多摩丘陵北部にかなり広く分布しています。上総層で多摩丘陵の母体が出来たあとも、当時の相模川(古相模川)が丹沢方面から武蔵野側に向かって流れ込んでいて、御殿峠礫層はその河原に堆積した砂礫だと考えられています。

 この礫層が府中市の浅間山(せんげんやま)にも見られるので、昔は長沼山から浅間山にかけては大きな河原が続いていたと考えられています。のちに、多摩川が北から南に向かって流れるようになって、浅間山は多摩丘陵から切り離されてしまったのです。
 
 枡形山にある上総層の上の礫層は浅い海で堆積した礫層。おし沼砂礫層と呼ばれています。枡形山付近は土台の上総層も海で堆積した泥岩層、その上に付加的に重なった地層も海で堆積した礫層。
川崎北部は長い間海だったようです。

 稲城南山にはこれらの礫層はありません。多摩丘陵の母体となった上総層だけが関東ロームの下にあります。

 
(3)多摩丘陵全体は関東ローム層で上を覆われている(上の図では省略している)。

 多摩丘陵全体は土地が隆起して、あるいは海面が下がって出来た陸地を、多摩川や相模川、そしてそれらの支流が浸食して残った山地です。その上を関東ローム層が覆っています。 

 関東ローム層は、箱根火山や富士山の噴火で放出された火山灰が風に乗って広がり、降り積もって出来た地層です。ローム層も長い年月をかけて降り積もった物なので、古い時代に噴出した物から、新しい時代に噴出した物まで、数層に区分されています。
 また、遠く鹿児島の姶良火山や八ヶ岳の火山灰もローム層の中に薄い層として入り込んでいます。


(4)多摩丘陵の中で稲城南山は上総層と関東ローム層だけで出来た単純な地層の構成。
稲城南山の地層構成があるから、多摩丘陵全体の共通の出来かた、それぞれの場所の特殊な出来かた、が分かりやすくなる。



参考資料

参考にした本
 「新版 東京都 地学のガイド 東京都の地質とそのおいたち」貝塚爽平監修、東京都地学のガイド編集委員会編、コロナ社。
 「日曜の地学4 東京の自然をたずねて」 大森昌衛監修、築地書館。
 「新版 神奈川県 地学のガイド 神奈川県の地質とそのおいたち」奥村清編著、コロナ社。

参考にしたHP
 多摩丘陵−上総層群とその堆積環境− 菊池隆男 URBAN KUBOTA NO.23
  (多摩丘陵の地質図あり)
 多摩丘陵 http://www.tamariver.net/jouhou/tamagawashi/parts/text/023311.htm
  (多摩丘陵の層序の解説)


(2008年8月 記)


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