稲城南山とその周辺

稲城南山と多摩丘陵 <考察編>


妙法寺周辺の工事と根方谷戸

(5) 根方谷戸の造成工事中の鉄砲水の危険と作業員の安全性


妙法寺周辺の広い地域で樹林が伐採され、その後始末として、排水処理のため、妙法寺の東側地域には吸込み槽が設置されました。
妙法寺の西側、旧サーキット場跡地を含む広い地域はそのままです。

根方谷戸の源流域である妙法寺周辺で激しい雨が降った場合、

途中で雨水を受け止める樹林帯が失われてしまい、谷戸の崖の頭付近にしか残されていないため、
大量の雨水が根方谷戸になだれ込むことになります。

その根方谷戸の盛り土造成は、山を削って出るロームの土(富士山などの火山灰が積もってできた土)と大量の砂(稲城砂層で有名な山の砂)を使うため、
地震によって盛り土が崩壊する危険性が高いのです。

そのため、東京都の指示によって、ほかの地域の開発では例のない専門家による工事検討委員会が設置され、
平成19年に、地震に対する安全性を見込んだ、複雑で高度な造成方法が答申されました。

区画整理組合はその答申に基ずいて開発計画を変更し、東京都の認可を得、埋蔵文化財調査や準備工事を始めたのです。
どんな答申だったのか、その内容を見てみましょう。


(1) 工事検討委員会が根方谷戸の造成工事について答申した方法とは:

根方谷戸の盛り土造成方法
根方谷戸の
盛り土造成の
方法を示した
断面図。

H19年、
専門委員会の
答申書
 p.32, 図2-13より。


上の図の左側がランドどうり、右側が妙法寺の方向です。
盛土の高さは50〜60m。

盛土の仕方:

 1.一番下の基礎地盤は、谷底にたまった土や砂とその下の砂層で、軟弱なので、まず改良する。 
   一定の間隔ごとに太いパイプを貫入して砂などを詰め込んで、砂の杭を作っていく(サンドコンパクション)。
 2.その上に、三角形で示されている、盛土の堤を作る。
       稲城砂をセメント改良したものを使う。
サンドイッチ造成

 3.最後に、30cm間隔で、砂の層やロームの層を
       展圧しながら重層していく。

     途中には
            2.4mごとに人工素材の排水層
           (排水ブランケット、ジオテキスタイル)を敷設し、
      さらに、9mごとに、厚さ30cmの砕石の層を入れていく。

非常に丁寧な方法です。
このような造成方法は空港や埠頭で行われる造成の方法のようです。

最後の3番目の重層の結果、
上の断面図のように横じまがたくさん入った
サンドイッチの状態になります。




造成方法審議結果  


(2) 造成中の水への対策


この工事で重視されていることは、
 盛土の中に砂層の流動化や崩壊の原因になる
水が入らないことと、
 水が多少入っても、途中途中に埋め込まれた排水層で
 盛り土の外に排水されるようにしていることです。

砕石(RC-40)を敷き詰める際には、
凸凹(不陸)ができると、
排水状態が悪くなるので、
確実に標高が一定になるように管理することを求めています。

工事は雨天の場合は行わないこと、
第3者的な機関によって、
施工管理や標高管理などを行うことが
求められています。











(3) 
工事検討委員会の答申で想定して検討したこと

 工事検討委員会は根方谷戸の工事現場に降る雨の影響について、次のような検討をしています。
                                (H19年、専門委員会の答申書  p.27)
 1.降雨の 20% が盛り土内に浸透すると仮定。
 2.府中気象観測所で観測した平均降水量(降雨強度 0.809 mm/日)が常時降り続くと仮定。
 3.そのような条件で、上の様なサンドイッチ様の盛り土工法をすれば
   (盛土の表面に)水面が形成されず、(盛り土内の)稲城砂層の水分含量もほとんど上昇しないこと、
   を、確認しています。


(4) 
工事検討委員会の答申で想定しなかったこと
 
 1. 集中豪雨が長く続く場合や、台風の場合の強風を伴った集中豪雨。
    去年の夏、日本の各地で起きたゲリラ的な集中豪雨。

 2. 根方谷戸の工事現場以外の場所からの大量の水の流入。

根方谷戸の源流域の妙法寺周辺の樹林がなくなり、集中豪雨などによって根方谷戸に大量の水がなだれ込むような事態は、工事検討委員会では全く検討されていません。

妙法寺の南側に広がるゴルフ場から、根方谷戸へ排水があることについても検討していません。
このゴルフ場の半分ぐらいは根方谷戸の水源域になっていることは、H13年の環境アセスメントの地図に記載されています(p.177)。
また、実際に、根方谷戸の崖の最上部付近に大きな排水口が設置されています。

ゲリラ的な集中豪雨も今まであまり経験のなかったことです。


(5) ゲリラ的な集中豪雨と根方谷戸の造成工事の安全性

黒い帯の雨
ゲリラ的な集中豪雨は熱帯地方でよくおこるスコールのような降り方をします。
今まで晴れていたのに、ポツポツと大粒の雨が降ってきたかと思ったら、急激に空が暗くなり、バケツをひっくり返したような激しい雨になる。

(右の写真は去年2008年の8月31日夕方6時、
 京王よみうりランドから向陽台方向を撮影したもの。

 黒い雨の帯がまっすぐ天空から地上に降りている。
 黒い帯は画面左から右にゆっくり移動していき、次々に新しい帯が 現れては移動していった。狭い地域へのピンポイントの集中豪雨を 思わせるひと時だった。)

去年はゲリラ豪雨が狭い地域に集中して降り、思わぬ場所で急激な増水と激流が生じ、河川敷の親水公園や舗装道路下のマンホールから潜り込んだ下水管などで犠牲者が出ました。

地球の温暖化の進行により、このようなゲリラ豪雨がますます増える可能性があります。


根方谷戸の源流域、妙法寺周辺でこのような豪雨になった場合、樹林帯にほとんどさえぎられることもなく、広い範囲から集まった雨水が根方谷戸になだれ込み、根方谷戸には急激な激しい流れ、鉄砲水が生じるのではないでしょうか?
崖の斜面の崩壊による土砂流も起こりかねません。

根方谷戸自体に降った場合も、
急激な激しい流れが生じるでしょう。

丁寧な展圧作業や盛土の標高管理を行っている最中に、天気予報には関係なくゲリラ豪雨が襲った場合、作業員は安全な場所に逃げる余裕があるのでしょうか?


区画整理組合は 豪雨の季節が来る前に、
妙法寺周辺の裸地を
至急樹林帯があった元の状態に匹敵するように、何らかの対策を考え出し、実行すべき ではないでしょうか?

さらに、工事専門委員会による答申を基にした工事の、具体的な全体計画と、工事施工に伴う排水処理の計画を公開し、少なくとも水関係のアセスメントをやり直し、広く意見を求めるべき ではないでしょうか?

工事を認可し、40億の補助金も出す東京都、工事を市の長期計画に組み込み、20億の補助金を出す稲城市、
東京都も稲城市も、それぞれの立場から区画整理組合に対して、不慮の災害を防ぐための指導をする責任 があるのではないでしょうか?

裏のゴルフ場から根方谷戸に排水口が作られていることに対しても、何らかの対策が必要ではないでしょうか?



(2009年2月27日記、3月4日一部訂正追加)

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