稲城南山とその周辺

稲城南山と多摩丘陵 <考察編>

5.南山の人工の崖について、崖崩れの条件を考える



砂層の崖が崩れる原因

砂層の崖が崩れる原因としては、
・ 雨水による表面の浸食、
・ オーバーハングしていて、下に支える物がないとき、
・あまり固まっていない崩れやすい砂層で、
斜面の傾きが急すぎるとき、
・ 大量の雨水の浸透と地下水の滞留による滑りやすい面の形成、
・ 沢などの水の流れがあるときは、水の流れによる浸食、
・ 地震
などが考えられます。


崖が崩れるのを防いでいる樹林の存在

崖が崩れるのを防いでいる自然の力もあります。樹林の存在です。

・樹林は雨水の力を和らげる。
・樹林では植物の根が互いに絡み合って、強固なマットを作っている。



稲城南山の人工の崖について、崖崩れの条件について考えてみましょう。

(1)沢などの水流はない。

 もし崖の下に沢などが流れていたら、崖の浸食は早く、崖にオーバーハングが作られて崩壊も起こりやすくなります。
しかし、この崖では沢水の流れはないので、雨水による以外は崖表面の浸食の進行は起こりません。


(2)稲城南山の人工の崖の上は、台地ではなく峰


 崖の上は台地ではなく馬の背のような峰になっているので、降った雨水の大部分は樹林帯に吸収される以外は流れ去ります。崖の峰の向こう側は根方谷戸の窪地です。

稲城南山の人工の崖の上  
人工の崖の上

 写真に写っている山道の右側に人工の崖が落ち込んでいます。左側は根方谷戸に続く窪地です。

 崖上の樹林帯を大切に保存する限り、そして、根方谷戸側の樹林帯も保存される限り、雨が原因の大規模な崩壊というのはないと思います。

 逆に言えば、根方谷戸側の樹林帯を遺跡調査などで伐採するのは非常に危険なことだと思います。










(3)稲城南山の人工の崖の下部は、斜面の傾きが緩やか。
  崖の下部からは樹林帯が再生し、徐々に崖の上部に広がっている。


稲城南山・人工の崖の斜面

人工の崖の下の方の斜面

(写真は2006年秋に撮影)。

 人工の崖は作られてから40年以上がたっています。
 この間に崩れやすいところは徐々に崩れて下の方に堆積し、崖の下部は緩やかな斜面になってきています。


 崖の上の樹林帯からさまざまな樹木の種子が落ちてきて崖の斜面で芽生えたのでしょう。
 斜面の樹木も生長し、土砂の流出をくい止める力になっていきます。









 


(4)水の滞留しやすい層が崖の上部にある・・・厳重な注意が必要・・・


稲城南山の宙水  南山の人工の崖では、崖のやや上部、関東ロームの下部付近に水の滞留しやすい層(宙水の層)があります。

 (環境影響評価報告書案 −南山東部土地区画整理事業− 平成13年3月 南山東部土地区画整理組合組合設立準備会、水分環境。環境アセスメントの報告書です。)

 左図で赤丸のところは、滞留した宙水の水が崖の表面にしみ出す位置で、雨後には水の湧出が見られるところです。


 崖の上で水の浸透が多いと、

(1)崖の上部からの宙水の湧出で、そこより下の部分の砂が流出して、オーバーハングが進行します。

(2)割れ目などに水が徐々に浸透し、滑落しやすい滑り面を作ることも考えられます。


 宙水の層は、図では15−20メートルぐらいの深さのところにあります。崖の上の分水嶺を越えてある程度根方谷戸側にいったところでも、樹木を伐採して水の地中への浸透を早めると、浸透した水が宙水となって、
地層の傾きに沿って崖の方に流れ、崖の上方で湧出することになります。

 
多摩丘陵では地層は関東平野側に傾いています。稲城南山付近では南東側に傾いているのだと思いますが、環境アセスメントの報告書では、稲城南山の地下水は北西側に流れています。

 遺跡調査をする際には、崖への宙水の湧出量を増やさないために、樹木の伐採をどの範囲までにとどめておくか、良く検討して決める必要があると思います。
 

 
(5)南山の人工の崖では、 通常程度の地震による大規模な崩壊の可能性は低い。
  しかし巨大なエネルギーを発散する地震による「砂層の液状化」、崩壊の可能性については慎重に検討しなければならない。

 地震による崩壊は、断層のあるところで地盤が激しく変動すると起こりやすくなります。
 南山の人工の崖付近には断層はありません。したがって地震による大規模な崩壊は無いものと思います。
 但し、断層はなくても、割れ目や
滑り面が形成されていたりすると、地震をきっかけにして中小の崩落は起こりうると思います。

 巨大なエネルギーが発散される大規模な地震では、地盤が揺すぶられたときに砂層が「液状化」し、崖地が崩壊する危険性がありえます。この様な巨大地震が起こる可能性はどの程度あるのか、また、その被害予想と対策(
崖に近い住宅の安全な場所への移転)も含め、慎重に検討する必要があります。



(6)南山の人工の崖で、崖くずれが起こりやすくなる原因になることは?

 巨大なエネルギーを発散する大規模な地震は別格として、集中豪雨や中小の地震で崖崩れが起きないようにしておく必要があります。

 崖の上の峰で穴を掘ったり、樹木を切ったりという行為は、雨水の地下への浸透を早め、水の滞留しやすい層に大量の水が滞留するのを促進する可能性があります。それは崖表面の砂の流出を起こし、また、滑落しやすい滑り面を作ることにもなります。

 崖の上の峰付近で、地質調査のためにトラック状に溝を切ることは、地下への雨水の浸透を早めるだけでなく、樹木の根によって作られているマットを分断することになり、オーバーハング部分の樹木を支える力を弱め、崩落の原因になります。

 崖の上の峰よりも根方谷戸側で樹木を伐採すること
も、雨水の地下への浸透を早め、伐採する場所によっては宙水層を通じて崖の上部に湧出する水量を増加させ、崖表面の砂の流出を起こし、また、滑落しやすい滑り面を作ることにもなります。


 崖の上部に水を湧出させるローム層下部の宙水層が、どの範囲からの水を集めているのか、遺跡調査による樹木の伐採の前に詳しい調査が必要だと思います。この調査は平成13年の環境アセスメントでは実施されていないので、至急調査が必要だと思います。 

(2008年8月16日、「崖崩れを防ぐ樹林の力」より独立、8/16再度追記、8/17一部訂正)


この項目についてはさまざまな視点からの議論があると思います。
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