「先行確認盛り土」実験をするためには、土地を平らにしなければならない。
地形図から見て「伐採、除根」と書かれている土地の、仮設道路側の標高は100mぐらいで、崖際は120mぐらい。
「伐採、除根」と書かれている土地の部分は、仮設道路の標高に合わせて、切り下げて平らにすると思われる。
さらに、そこで稲城砂を調達する場合、さらに5−10mぐらい掘り下げるかもしれない。
土地の切り下げにより、がけの上部に土と砂でできた長い壁が生じる
崖の縁と切り下げる土地(「伐採、除根」と書かれている土地)との間は、工事図面から10m前後。・・・壁の厚さになる。
切り下げる深さ: ローム層の厚さ15−18m。出店層5mぐらい。その下が稲城層の砂層。出店層も含めて稲城層の砂を採取するとしても、切り下げる深さは崖際で20m以上になる。・・・壁の高さになる。
京王線側の崖正面に沿って切り下げる土地の長さは、工事図面から150m前後。・・・壁の長さは160m前後になる。
崖の裏側での土地の切り下げの図面では、「先行確認盛り土予定地」が接近していて、崖の裏側に安全な傾斜をとる余裕がないように見えます。
崖裏の土地を切り下げて崖は壁のようになるので、風圧をもろに受け、暴風雨の際は危険になるのではないでしょうか?
ロームと砂の地層が裏側にも露出
崖裏の土地の切り下げによって、雨水が崖の上部からだけでなく、崖の裏側からも浸透しやすくなります。
吹き付ける豪雨に対しての対策は考えられているのでしょうか?
(上)崖地付近の地質断面図 (H13年 環境アセスメント p.151 図7.4.1-7)
上部のLm1(紫色)、Lm2(薄い黄色)はローム層。厚さは約15〜18m。
その下のDeg(土色)は上総層(かずさそう)の内の出店層(でだなそう)で砂礫の層。厚さは4〜10m。
その下のIus(黄色)とIlg(これも黄色)が上総層の内の稲城層。細砂・中砂・砂礫の層。厚さは70m以上。
宙水の位置
(H13年 環境アセスメント
p.179 図7.5.1-4)宙水とは:
降った雨水は徐々に地下に浸透していきます。
その途中で、水を通しにくい地層にぶつかると、その上の水を含みやすい地層に一時的に水がたまります。
宙釣りになったように水がたまっているところで、宙水と呼ばれます。
京王線に面した人工の崖では、ローム層の下部に宙水ができ、雨のあとには崖に宙水がしみ出します。
災害の可能性と対策は考慮されているのでしょうか?
崖が京王線側に崩れる可能性の程度と対策は?
土砂流が崖の裏側から低地に向かう可能性の程度と対策は?
切り下げ工事の着工前に、詳細な工事計画を公開し、さまざまな面からの検討と納得のいく説明が必要です。
十分な安全対策が必要です。
参考にした資料
崖上の工事予定地図: H21.2.7 稲城駅周辺の環境を考える会と組合の話し合いの席上、提示された資料。
工事予定地域周辺の地形図: 南山東部土地区画整理事業造成工事検討委員会 答申書 p.3 図1-1。
平成19年6月、株式会社・八州 応用地質株式会社。
崖地付近の地質断面図: 環境影響評価書案 −南山東部土地区画整理事業−平成13年3月
南山東部土地区画整理組合設立準備会 p.151 図7.4.1-7。
地質断面図の位置: 同上 p.138 図7.4.1-1。
崖地の宙水の位置: 同上 p.179 図7.5.1-4。
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