わたしのいるところは　林道のわきの　崖のそば
自然の崖よ
ゾウの鼻みたいな木が　　わ　た　し




崖の近くの林。　私はそこで生まれた。
私はすくすくと育った・・・はずだった。

私がまだ１メートルぐらいの　若木のころ
私のところに　崖が迫ってきた。

長年の雨風で　崖は少しずつ地面をえぐって
大きくなりながら　私たちをおびやかし・・・
ついには　崖の先頭は　私の下を通り越してしまった。

私の足元には
地面といえるものは　どのぐらい残ったのだろう・・・

でも　周りの木々と一緒になり　
遠くの木の根も一緒になり
根と根を絡ませて　私の足元の地面は持ちこたえた。

根の付いていない土は　とっくに落ちてしまい
絡んだ根についた土だけが　私を支えている。
 

ほら　私の木の　根株と　崖の壁の間、
なんにもないの。　向こうが透けて見えるでしょ
もうわたしは　ぶらさがっているだけ・・・

　
　
でも　私の上の方を見て・・・
周りの木々と競争して　明るい空を求めて　
長く長く　幹や枝を伸ばしているのよ

わたしって　こんなに大きく育っているの